ウペンドラ
2000 印 カンナダ語
俺評価:★★★★★
笑 い:★★★★
泣 き:★
性悪説:★★★★★

とにかく面白い! そして、人間は
多かれ少なかれ悪の心を持っている
いわゆる「性悪説」をひしひしと感
じた。日本人特有と思われがちな
「本音と建前」という2つの仮面が
人類普遍であることを痛感した。
人間のもつ心の本質をリアルに、
そして娯楽作品の形をもって表現で
きたこの作品は、他のインド映画と
は一味違う。

前半部分は、主人公「ナヌゥ」のエ
ピソードを、周りの人の話という形
で面白おかしく表現している。ナヌ
ゥは大人たちの表面を取り繕った嘘
を許せなかった。少年時代のナヌゥ
が導師の嘘に対しこぶしで顔を殴っ
たり、大人になってから、キツい酒
を強引に僧侶に飲ませて僧侶の偽善
振りを暴露したり、などなど、普通
では考えられない、でも人間の本質
を的確に突いていて、なおかつ面白
く表現できている。ここまで楽しめ
る作品も珍しいと思う。
私は腹を抱えて笑っていた。

前半部で、主人公と同居人(娼婦)、
恋人(小娘)、金づる女(金持ち)
の3人女性のエピソードを紹介した
上で、後半部では物語の核心が描か
れている。
なんと、3人の女性にそれぞれ別々に
結婚を迫るのである。いや、結果的
に2人には迫られ、金ヅル女には金の
ために結婚を迫るのだ。そのときの
相手の女性の言葉によってナヌゥの
気持ちが二転三転するのが非常に面
白い。「またかよ。」と、頭を抱え
つつも、ナヌゥの持ち味だなとつい
笑ってしまう。

前半のただ面白おかしいストーリと
は一変してシリアスな展開に進む。
構成として前半と後半のメリハリが
しっかりしている。シリアスにとい
えども、前半の娯楽性を持ちつづけ
たままというのが良い。
娯楽映画を貫き通しているのだ。


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